皆さんこんにちは!
この記事はボイトレを開始する方へ向けて、『ボイトレでアプローチすべき声の筋肉』のことや、『ボイトレって何を行うのか』といった疑問を解決したいと思います!
これまでの記事では地声側の筋肉群である「披裂筋群」と裏声側の筋肉である「輪状甲状筋」をご紹介しました。
まだご覧になっていない方はこちらをどうぞ!
今回の記事では、その2種類の筋肉をサポートしたり、音質を変化させたりする為の筋肉群である喉頭懸垂機構(こうとうけんすいきこう)というものまで分かりやすく解説してみます。
では、いってみましょ〜♪
まずは地声と裏声を出す「エンジン」の筋肉をおさらい
声を作り出す筋肉で最も重要なのは、地声発声で主役を担う披裂筋群と、裏声発声で主役になる輪状甲状筋です。
披裂筋群の主な仕事は「声帯を閉めること」です。
※披裂筋群の中の一つである「側筋」は図のように披裂軟骨を回転させることで声帯(赤)を閉めます。
輪状甲状筋の主な仕事は「声帯を引き伸ばすこと」です。
まず、輪状甲状筋は以下の図のような筋肉です。
喉仏のある甲状軟骨と、その下に位置する輪状軟骨とを繋いでいる筋肉です。
続いて、輪状甲状筋の運動についても書いてみましょう。
輪状甲状筋が収縮すると下の図の赤い点線のように、甲状軟骨と輪状軟骨が傾く事で声帯が引き伸ばされます。
ここまでの説明で、かなり簡単に2種類の筋肉の役割を掴めたのではないでしょうか?
つまり、この2種類の筋肉は「地声」と「裏声」を出す為のエンジンの役割を果たすのです。
喉頭懸垂機構とは?
ここまでは、地声と裏声を発声する為の「エンジン」の役割をする筋肉を見てきました。
ここからは、その筋肉とコラボする事でパワーをUPさせたり、音色を変えたりするために必要な筋肉たちを紹介しましょう!
その筋肉たちの総称を『喉頭懸垂機構(こうとうけんすいきこう)』と呼びます。
では、下の図をご覧ください。
図を見てもらうと分かるように、各筋肉は上下に方向性を持っています。
上方向甲状舌骨筋(こうじょうぜっこつきん)、口蓋喉頭筋(こうがいこうとうきん)、茎突咽頭筋(けいとついんとうきん)
下方向胸骨甲状筋(きょうこつこうじょうきん)、輪状咽頭筋(りんじょういんとうきん)
各筋肉の運動方向は以下の図をご覧ください。
このように前後に向かって、上下で引き合うことで発声時に喉頭が安定します。
しかし、これまで発声してきた声の出し方は人それぞれで、前方への上方向が優位に働く人や、後方の下方向が優位に働く人など、皆さん様々な癖で発声を行います。
なかには、全く喉頭懸垂機構が働かず、声と呼気が上手くコミュニケーションが取れない方もいます。
この喉頭懸垂機構の筋肉群の仕事を簡単に書くと、
仕事①地声と裏声の音質を安定させる(声と呼気を繋ぐ)
仕事②地声と裏声の音質を変化させる
仕事③声区を混ぜる(ミックスボイス)際に裏返らないように耐える
という3つです。
この役割を果たせるように喉頭懸垂機構の各筋肉にアプローチしていくトレーニングが、僕のブログやYouTubeでご紹介している「当てトレ(アンザッツ )」です!
当てトレで各筋肉を狙おう!
現在までブログでUPしているトレーニング方法で、各筋肉にアプローチできるものを添付するので、皆さんの普段のトレーニングに役立てば嬉しいです♪
・甲状舌骨筋のアプローチ(前方引き上げ)
・口蓋喉頭筋、茎突咽頭筋へのアプローチ(後方引き上げ)
・胸骨甲状筋へのアプローチ(前方引き下げ)
・輪状咽頭筋(後方引き下げ)へのアプローチ
・輪状甲状筋のみへのアプローチ
※当てトレの効能についてはこちらの記事をご覧ください♪
ボイトレは医療である。By.フースラー
現在、日本国内で行われているボイストレーニングの全てを遡ると、必ず「ベル・カント」という理論にたどり着きます。
なぜ「ベル・カント」の理論にたどり着くのかというと、初めて『医学と声』を結びつけ、声の成り立ちを証明した理論だからです。
世界有数のボイストレーナーと言われるフースラーは書物の中でこのようなことを書き残しています。
『ボイストレーニングは医療だ』
声の背景にある筋肉や神経にアプローチしていかないと、本当の意味で「声」が変化することはあり得ません。
このブログではフースラーが言うように、医学に裏付けされているトレーニングを一緒に行いながら皆さんの歌声を進化させていくお手伝いができればと思っています。
ともに『心が伝わる歌声』を目指していきましょう!
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