
皆さんこんにちは!
今回はミックスボイスに必ず必要になってくる声帯筋について書いてみます!
これまでの記事では、地声と裏声を発声する際のエンジンの役目を果たす披裂筋群や輪状甲状筋。
そしてそれらとタッグを組むことで音質変化を加えたり、声区をブレンド(ミックスボイス)する際にひっくり返らないように耐える喉頭懸垂機構を解説してきました。
この記事の目次
声帯筋って?

図は上方から声帯半分を見ています。
「赤」が声帯靭帯で擦れて音が鳴る箇所です。
声帯靭帯に向かって放射状に張っている筋肉が声帯筋で2種類の筋肉が交叉することで構成されています。
a.が甲状声帯筋
b.が披裂声帯筋
と呼びます。
声帯筋の仕事は?
この声帯筋の仕事は何なのかというと声帯をピタッと閉めることです。
それが地声発声であっても、裏声発声であってもです。
ミックスボイスに関しての記事でお伝えしているようにミックスボイスの定義は、
「地声と裏声の音圧、音質ともに極限まで等しく鍛えられた際に現れる両方の声質を持った声」です。
そのためには裏声を地声に似通らせる必要が出てきます。
そこで仕事をするのが声帯筋なのです。
発声学の権威であるリードとフースラーともに見解は同じで、「声帯筋こそミックスボイスに必須」だと明言しています。
特に滑らかな音質のまま裏声にパンチを持たせることには必須で、ほとんどの方はこの音質を出せません。
声帯筋は日常会話で使うことは無く、ボイストレーニングを行うなかで技術習得しなければならないからです。
声帯筋を使った裏声音質
次に声帯筋を使った裏声音質についてです。
以下の僕のデモンストレーション音源を参考にしてみてください。
まずは声帯筋をそんなに使わない裏声です。
声帯筋を弛緩させた裏声やや声に締まりが無いことが分かります
続いて、声帯筋を加えた裏声です。
声帯筋を関与させた裏声声にパンチが加わっているのが分かります(音量が上がるので音割れしています。すいません)
声帯筋を使うためには順序がある
フースラーは声帯筋を上手く使うための順序について書き残しています。
順序①2声区(地声と裏声)をしっかり切り分ける
順序②裏声を鍛えて、安定させていく
順序③裏声低域で「あ」を発音していく(この時に、音質が絶対に歪まないこと。喉絞めが起こらないことがルール)
そして、この順序はかなりの長期間を要することが普通です。
裏声が強く育ってこないと自然な発音(声帯筋の関与)が難しいことは既に発声生理学で判明しています。
声帯筋はみんなの協力のもとに解放される
以上のように、声帯筋を関与させるためには裏声(声帯の伸展力)が必須だと書きました。
しかし、それに加えて声帯内部の運動変化に対して喉頭懸垂機構も耐えなければいけません。
※喉頭懸垂機構に関しては以下の記事をどうぞ。
つまり、声帯筋という筋肉は1人では何も仕事ができないのです。
そもそも上手く動くために、みんなの協力が絶対に必要なので、声帯筋へのアプローチは様々な筋肉たちが自由になっていないと難しいのです。
ここまで書いてきたなかで皆さんに理解して欲しいことは、ボイトレのアプローチは色んなことを多面的に行なったうえで最終的に1つに繋がるということです。
何か1つの魔法のトレーニングというものは存在しませんが、医学や歴史がこれまでに解明してきた「声を成長させる裏付け」を担保したトレーニングを続けることで歌は必ず上手くなります!
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