皆さんこんにちは!
今回のテーマは「なぜ、最初からミックスボイスは出来ないのか?」です。
この記事を読んでもらえば、かなり当たり前のように理解できると思います。
しかし、驚くほど『当然あるべき視点』を忘れてしまっているシンガーの方も多いので参考になれば嬉しいです!
では、いってみましょう〜!
「声と医学の出会い」が迷宮を作り出した
声と医学との繋がりは、1600年代頃より数ある文献により確認されていますが、ガルシアの発明により登場した「喉頭鏡」(1854年)により、その関係性は更に深くなりました。
「声」というものを作り出している声帯そのものを視覚的に捉えることが可能になるという発声学の新時代が到来したのです。(喉頭鏡開発当初は声帯の約3分の2しか見えませんでしたが・・・)
しかし、
発声の歴史における重大な間違いを犯すまでに時間はかかりませんでした。
研究者達は、類稀なる声を持つシンガーの発声時の声帯運動状況や、シンガーの感じている感覚などを分析しました。
そうして、その結果得られた運動状態、シンガーと同じような感覚などを作り出すことができれば、そのような声を手に入れることが可能なのだと考えたのです。
その結果、高域発声時に口腔内を欠伸(あくび)の形にする、喉仏を下げる、頭の先から声を出す感覚など、数えられないほどの感覚が生み出されました。
ここで考えて欲しいことは、確かに類稀なる声を持つシンガーはそう感じていた。声帯状況はそうなっていた。という事実です。
では、なぜ同じ状況を作り出そうとした結果、その全てがことごとく失敗に終わってしまったのでしょうか。
声を作り出す状況は皆違う
なぜ、同じ状況を作ろうとした結果、ことごとく失敗に終わったのか?
答えは、
類稀なる声を持つシンガーと、練習生とでは「声を作り出す構成物そのものに差があるから」です。
例えば、ファルセット発声時に「声が口の外でしっかりと響く感じ」というフィーリングを伝えられた練習生が、その状態を一切感じられない場合、それは輪状甲状筋そのものの筋力に問題がある可能性がかなり高くなります。
要は、『声を作り出している状態そのものを改善しないと、上手なシンガーと同じようなフィーリングは絶対に感じられない』ということです。
レッスンを例に取ってみましょう。
例えば、初回レッスンの際に「地声と裏声を同じ感覚で出してください」と伝えられた練習生は、その後何回トレーニングを重ねても、どこへもたどり着けないでしょう。(ひたすら感覚を追い求める時間だけが過ぎ去ります)
声を作り出している構成物のレベルが全く違う人の真似をしようとしても不可能だからですね。
重要なのは、声を作り出している構成物そのものを進化させていくメソッドを行っていくことです。
いきなりゴールへと到着できるものなど存在しません。
しかし現在も、過去にあった誤った歴史の繰り返しをひたすら行ってしまう傾向にあります。
(発声学者のリード、フースラー共に過ちの繰り返しを危惧しています。)
ただ、声を作り出す構成物への正しいアプローチを日々続けるシンガーは、その多数を横目に進化し続けていきます。
この記事を読んでもらった方は「そりゃ、そうだ」と当たり前に感じてくれたかもしれません。
ですが意外と、この矛盾に気付くシンガーが少ないのは事実です。